先日、ある自動車関係の雑誌の、投稿欄を読んでいました。その月のテーマは、便利なカー用品にまつわる話で、何人かが投稿していました。そのうちの一つを読みながら思ったことを今回述べたいと思います。
親子でカーナビを利用してドライブしたときの様子を、母親の運転の横に同乗していた娘さんの方が投稿したものです。カーナビとは、ご存じの方が多いと思いますが、自動的に行き先の案内を、画面に地図を出し、音声を交えて行ってくれる機械です。
 この運転していたお母さんは、交差点ごとに、「右に。左に。」と案内してくれる声の主と自分とが、電話回線でつながり、実際に対話をしているものと思いこんでいたようです。ですから、機械が「右に曲がってください」と言えば、「はいはい、ありがとうございます」などと、いちいち返事をしていたそうです。到着して最後には、「運転お疲れ様です」と機械が言ったのに対し、「あなたのおかげで無事に着きました。ありがとう」と言ったらしく、娘としてかなり大うけをしたようです。
 私も想像しながら投稿を読みますときに、かなりおもしろいと思いました。機械に向かっていちいち話しかけるのですから、私でも隣にいたら大笑いしながら見ていたと思います。
 しかし、この「ありがとう」は、これでいいのではないかと思います。このお母さんは、機械のことがよくわからなくて、こんな風にお礼を言ったのかもしれませんが、お世話になったら、機械であろうが何であろうが、お礼を言う気持ちは大切だと思います。

 話は変わりますが、ある夕刻、ファミリーレストランに行ったときのこと、一人の若い女性が、ウエイトレスに向かって「ちょっと、髪の毛が入ってるんだけど!!」と氷の入れ物を持って強い口調で言っていました。そのレストランは、ドリンクに関してはセルフ方式なので、不特定の人が氷の入れ物にふれます。確かに、そういう所こそ、店員が気を配らないといけないのでしょうけど、その女性がいった言葉が、あまりにも強く、攻撃的でした。ウエイトレスとしては客が相手でしたので、笑顔で対処していましたが、客とはいえもっと他の言葉はないのかと思いました。
 レストランでは、注文すれば料理が出てきます。お金を払いさえすれば食べることができるとしても、作ってくださる人がいてこそ食べることができることを忘れてはならないと思います。

 お世話になったらお礼を言う気持ち。先程のカーナビの話もそうですが、機械であっても、ウエイトレスの人であっても、感謝の気持ちは大切です。たとえば、スーパーのレジを打つ人などのように偶然に出会う人や、家族、職場の人など、毎日のように会う人も同じです。「してもらって当たり前」などと言ってしまうようでは信心は止まってしまいます。
 当たり前すぎてお礼を言うのが忘れてしまいそうな場合でも、お礼を言う気持ちが出てくれば、相手がたすかり自分もたすかり、神様も喜ばれます。

 お礼を言う気持ちの輪が広まれば、世界に平和が訪れます。